「解剖所見と殺害態様、殺害場所は合わない」「解剖所見と自白に矛盾、不合理はない」。東京高裁で30日開かれた今市事件控訴審第2回公判は、一審宇都宮地裁の裁判員裁判と同様、2人の法医学者の間で見解が真っ向から対立した。

 「心臓を貫通した二つの傷は、刃の向きが他の傷と逆」。先に証言台に立った東京医大の吉田謙一(よしだけんいち)教授は司法解剖の分析結果から、6~7秒の間に凶器の持ち替えを行った不自然さを指摘した。

 心臓などの状態から、体内の血液は1分以上かけて1リットル以上流出したと強調。遺体発見現場では血液が地中に染みこまず、警察が撮影した血液に反応する薬液の写真は落ち葉の鉄分に反応したとして「10ミリリットル以上の血液の反応がないことを明瞭に示している」と断言。

 続いて出廷した東京医科歯科大の上村公一(うえむらこういち)教授は淡々と「矛盾はない」と繰り返し、一審の法医学者の証人尋問と同じ構図となった。

 上村教授は、吉田教授の遺体の傷口に関する主張を「(今回の写真からは)普通、判断しない」とばっさり。殺害態様も「大人と子どもでもあり、可能」「一瞬の出来事。絶対不可能とはいえない」と応じた。