「弁護側の主張には理由がない」。東京高裁で18日開かれた今市事件の控訴審初公判。法廷に1人で臨んだ東京高検の検察官は、6人の弁護団が投げ掛けた疑問に反論を展開した。

 「10回刺した。6~7秒だった」との自白を「あり得ない」する弁護団に対し、「刃物が鋭利で刺す力も強く、時間も早かったと容易に推察できる」と切り返した。1リットル以上は流れ出たとみられる女児の血液が現場に見当たらないとする指摘には、「被害者の遺体にも相当量の血液が付いていた」などと主張。司法解剖などでも血液が流出していたはずだとし、矛盾はないとの見方を示した。

 自白と遺体発見現場の矛盾を突こうと弁護団が昨年12月に現場で行った独自の検証は「現場が(当時と)同じ状況だと考えるのは非科学的」と突き放した。

 遺体に付いていた粘着テープから「第三者」のDNA型が検出され、真犯人の可能性が高いとする弁護団。一方、検察側は事件直後の指紋採取でDNA型の汚染があったと説明。水洗いしただけのはけやトレーを使ったためとし、「DNA型鑑定資料としてふさわしくないものになってしまった」とし、県警が一時追い掛けた粘着テープの証拠価値を否定した形だ。

 被告が母親宛てに「自分で起こした事件のせいで迷惑をかけた」と書いた手紙を送っていた点も重視。文面から「殺人を犯したことを実母に謝罪したものと読み取れる」と強調した。