検証委員会終了後、報道陣の取材に応じて声を詰まらせる奥さん(右)と毛塚さん=15日午後5時55分、県公館

 那須町の国有林で登山講習会中だった大田原高山岳部の8人が死亡した雪崩事故。県教委の検証委員会は15日、宇田貞夫(うださだお)県教育長に最終報告書を提出した。「8人の命を無駄にしないでほしい」。遺族は報告書の再発防止策が確かに実行されることを強く願い、宇田教育長ら県教委関係者は対策の徹底を誓い改めて謝罪した。事故は発生から半年余り。県警の捜査は今も続く。遺族が願う事故の真相究明は終わっていない。

 「われわれの思いに応えてもらうための出発点」。検証委員会の最終報告書提出後、遺族は実効性のある再発防止策を県教委や県高校体育連盟に求めた。「息子たちが生きた証しとして、立派な再発防止策を」。遺族は思いを一つに今後の取り組みを注視している。

 県公館で開かれた検証委の最終会合。戸田芳雄(とだよしお)委員長は、締めくくりに黙とうを呼び掛け、遺族と委員、県教委事務局、報道陣が一斉に立ち上がって8人の冥福を祈った。室内には遺族のすすり泣く声が響いた。

 教員で唯一犠牲になった大田原高山岳部第3顧問毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の父辰幸(たつゆき)さん(65)も涙をこらえきれなかった。「何も考えられなかった。ただただ悲しくて、切なくて、やるせなくて…」。報道陣から黙とうの際の心境を問われると、言葉を詰まらせた。

 引率教員の雪崩の予見可能性を指摘するなど踏み込んだ内容となった最終報告書。亡くなった奥公輝(おくまさき)さん=当時(16)=の父勝(まさる)さん(46)は「『責任追及をしない』という枠組みの中で、最大限われわれの意図を組んだ表現をしてくれた」と検証委に感謝の念を述べた。一方で、県高体連登山専門部に対しては「十分な再発防止策が取られるか不安もある」として事故の総括を求めた。