宇田県教育長(左)に最終報告書を手渡す検証委員会の戸田委員長=15日午後4時25分、県公館

 那須町湯本の国有林で「春山安全登山講習会」中の大田原高の生徒7人と教員1人の計8人が死亡、参加7校の計40人が負傷した雪崩事故で、県教委が設置した第三者の検証委員会(委員長・戸田芳雄(とだよしお)東京女子体育大教授)は15日、講習会を主催した県高校体育連盟(高体連)と同登山専門部の「計画全体のマネジメントと危機管理意識の欠如」を事故の最大要因とする最終報告書を県教委に提出した。講習会の計画、実施に関し、両者は「安全に配慮する措置を講ずるべきだった」と言及。また講習会の講師を務めた教員の判断を巡り、訓練時の状況などから「事故の予見可能性があった」と分析した。

 ◆ 検証委の最終報告書(県教委HP)

 報告書は全198ページ。事故要因として「低い危機管理意識で行われてきた講習会を見過ごした」と県教委のチェック体制の不備も指摘。講師らの雪崩の危険に関する理解不足など「個人の資質」も挙げた。また背景に、雪崩の危険を認識しなかった関係者全体の「『正常化の偏見』とマンネリズム」があるとした。

 関係者や組織に求められた安全配慮についても詳細に分析。登山専門部には、講習会の計画段階で「講習会である以上、通常の登山以上の安全確保が必要だったが、その配慮が足りなかった」などと指摘。引率教員らの判断を巡り「前日からの降雪がある斜面を多くの生徒が隊列で進めば雪崩の危険があることを、雪山経験や雪崩の基本知識がある教員は認識し得たはず」と予見可能性に言及した。

 予見可能性などの分析を報告書に盛り込んだことについて、戸田委員長は「法的責任の追及ではなく、どんなことに配慮すれば事故を防げたかという視点で盛り込んだ」と説明した。

 2010年の講習会時の雪崩について、第1次報告書の内容を修正。「県高体連や県教委に報告すべき重大事故だった」と強調。一方、今回の雪崩が人為的か自然発生かは「特定は難しい」とした。

 事故要因の分析を踏まえ7項目、全20点の再発防止策を提言。県教委に対しては新たな連絡協議会を設け、高校登山部の安全管理をチェックする仕組みを導入することなどを求めた。