毛塚優甫さん

 那須町の国有林で登山講習会中だった大田原高の生徒7人と教員1人が死亡した雪崩事故から半年がたった27日、献花台や同校など各地で祈りが広がった。ふとした日常の出来事で、息子がいないという現実を突き付けられる遺族は悲しみを抱えながら、事故と向き合い再発防止を強く願う。時がたつにつれ、風化を懸念する声もある。「忘れない」。多くの関係者が思いを胸に8人を悼んだ。

 「ふとしたことで涙もろくなった。外出する回数も減りました」。教員で唯一犠牲になった大田原高山岳部第3顧問毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の両親の悲しみは癒えない。一方で県教委が設置した雪崩事故検証委員会の聞き取りなどで「雪崩の危険性を認識できなかった」とする登山講習会の講師の説明に納得できず、県教委に再調査を要望するなど事故原因に真っ正面から向き合っている。

 父辰幸(たつゆき)さん(65)は、何げない人との会話やテレビなどを通し、息子を連想させる内容が呼び水となって涙が止まらなくなる。母愛子(あいこ)さん(60)は買い物に出掛けた時に男性用の洗濯洗剤を見ると、ふと「息子に買ってあげよう」と思うが、間もなく「息子はいない」という現実に引き戻される。