アルバイト先の社長から贈られた表彰状を手に「助けられてよかった」とはにかむレ・タン・チュンさん=6月上旬、宇都宮市下川俣町

 東京・赤坂離宮で今月上旬行われた日本・ベトナム首脳会談の晩さん会。安倍晋三首相はあいさつで宇都宮市在住のベトナム人留学生の名を挙げた。同市南大通り1丁目、作新学院大経営学部の学生レ・タン・チュンさん(26)。「勇気をたたえ、感謝したい」。首相はレさんが数日前、自宅アパートそばの田川で入水自殺しようとした女性を救助したエピソードを紹介し、両国の友好関係を強調した。

 レさんは2015年10月、妻と幼い長男を残して来日した。学業の傍ら、学費を稼ぐために同市下川俣町の中古タイヤ店「アップライジング」でアルバイトを続けている。

 レさんによると、今回の一件があったのは今月2日午前1時すぎ。田川沿いのアパートで就寝中、女性の叫び声に驚き、急いで窓を開けた。川岸から流れの中へ歩いていく1人の女性がいた。

 川は前日の雨で増水していた。「自殺しようとしているのか」。相部屋のベトナム人男性と2人で外へ飛び出した。胸まで水に漬かりながら、無我夢中で女性を岸まで引き上げた。

 40代とみられる女性は救助後もやや興奮気味だったが、2人は知人の女性も呼ぶなどして落ち着かせ、警察と救急車の到着まで見守ったという。