那須雪崩事故を受け、名古屋大大学院の西村浩一(にしむら・こういち)教授(雪氷学)が現地の地形データなどを基に解析した雪崩の動きのシミュレーション画像。最大時で時速50~60キロに達した雪崩が斜面を流れ落ち、発生から約20秒後に樹林帯付近で止まるまでの軌跡を赤い部分で表している(西村教授提供)

 那須町の雪崩事故を受け、現地調査を行った名古屋大大学院の西村浩一(にしむらこういち)教授(63)=雪氷学=が5日までに、下野新聞社の取材に応じた。西村教授はコンピューターで今回の雪崩の動きを解析するシミュレーションを行ったほか、発生場所とされる大岩「天狗(てんぐ)の鼻」付近にも実際に足を運び、雪崩の起点を示す「破断面」の可能性もある痕跡を付近で確認した。

 周辺には雪崩の要因となる吹きだまりも多く残っていたことから、訓練当時に雪崩の危険性が高まっていた可能性を指摘した。

 西村教授は、各地の雪崩現場の調査や人工雪崩を起こす実験を行うなどして長年、雪崩を研究している。

 シミュレーションによると、雪崩は発生後10秒で時速50~60キロの最大速度に達し、さらに約10秒かけて動きを止めた。傾斜が緩む樹林帯に少し入り込んだ場所が終点になる計算という。

 西村教授は3日に天狗の鼻を訪れ、付近の雪面に高さ約15センチの断面を確認。周辺を掘るとさらに30センチ下に、雪崩発生前の雪との境界を示す固い層があった。

 この計約45センチの積雪について「雪の締まりを考慮すると、雪崩発生時には60センチほどの積雪だったはず」と推定。見つかった断面が雪崩の起点だった場合、気象データなどを基に約30センチとみられていた雪崩の厚みが、上方ではより大きかった可能性があるという。