医師と僧侶、双方の立場から「緩和ケア」を追求した益子町益子、西明寺住職で境内にある普門院診療所医師の田中雅博(たなかまさひろ)さんが21日午前7時20分、すい臓がんのため死去した。70歳。尊厳死を巡って、人間の生と死の在り方に一石を投じた。2014年10月、がんと診断された後も、精力的に臨床宗教師として活動した。

 真岡高、慈恵医大を卒業後、国立がんセンターに勤務し、父である先代住職の死去に伴い退職。大正大で仏教を学び1990年、診療所を開いた。

 92年、心肺停止の益子町、陶芸家女性=当時(53)=について、「救命不可能」と判断。「尊厳死の宣誓書」に署名していたことなどから、女性の家族と共に延命治療を中止した。

 市民グループから殺人罪で告発されたが、約10年後に不起訴が確定。

 臨床宗教師としての活動の一つが、「癌(がん)患者語らいの集い」だ。自らの余命が分かって1年半後の昨年4月から毎月催し、多くの患者の話に耳を傾けた。

 妻貞雅(ていが)さん(68)は「やりきって悔いはないと思う」と話した。