母乳育児を続けるか、断乳するか-。母乳育児を続けてきたママの中には、仕事復帰を前に悩む人も多いだろう。母乳育児を続けたい場合、子どもと離れ離れになる仕事中はどうしたらいいのか。復帰後も母乳育児を続ける方法をことり助産院(鹿沼市上南摩町)の小嶋由美(こじまゆみ)助産師に教えてもらった。

 世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)は、生後6カ月まで完全母乳育児を行い、その後は適切な食事を補いながら母乳を続けることを推奨している。

 小嶋助産師によると、仕事復帰後も母乳育児を続けるには、(1)仕事中に搾乳し、後で子どもに与える(2)仕事中は圧抜きのケアを行い、昼間はミルクに切り替える-の2通りのやり方がある。

 日中、母乳を乳房にためたままにしておくと乳腺炎になったり、分泌量が減ったりするので、胸が張ったままにしないようにする。特に、産後2~4カ月で仕事復帰する場合、母乳の分泌が活発なため乳腺炎を起こしやすいので慎重に進める必要がある。

 (1)のケースでは、搾乳器か手で搾乳し、母乳をパックに入れて冷凍しておく。搾乳しすぎると過剰に母乳が分泌されるので、20分程度でやめる。

 注意点として小嶋助産師は「衛生管理の行き届いた場所でやること」と話す。場所の確保や冷凍庫があることが条件となるため、雇用主側の理解や協力が求められる。

 獨協医大病院(壬生町北小林)の女性医師支援センターには、県内でも数少ない搾乳室がある。4月に長女を出産し、10月に復帰した新井亜由美(あらいあゆみ)医師(29)は「できるだけ母乳で育ててあげたい」と、昼の休憩時間に搾乳する。搾乳した母乳はその場で冷凍し、保育園で飲ませてもらっている。

 同センターのコーディネーター前沢玲華(まえざわれいか)医師は「搾乳できる環境は、復職を前向きにさせる。アピールの一つになる」と利点を挙げる。しかし、搾乳場所を設けている官公庁や企業は全国的にも少ないのが現状だ。

 職場に搾乳できる場所がない場合は、(2)の圧抜きで母乳育児を続ける。乳房全体を手のひらで包むようにして外側から内側に向けて搾り出す「おにぎり搾り」と呼ばれる方法で、母乳パッドを使えば洋服の上からでもできる。

 1カ月ほど続けると、吸わせた時にだけ母乳が分泌するようになり、昼間は胸が張らなくなる。

 小嶋助産師は「仕事に復帰するからと母乳育児を止めると決めつけずに、他の方法も探ってほしい。心配事があれば助産師に相談を」と呼び掛けている。