福島第1原発事故後に各地の上下水道処理施設などで汚泥から放射性物質が検出されている問題で、県が宇都宮市など16市町と共同で取り組んでいる下水道汚泥の再資源化が立ち往生している。県は汚泥から放射性物質が検出される以前まで、汚泥を高温で処理し「溶融スラグ」として建設資材などにリサイクルしてきたが、放射性物質の濃度が高すぎるためリサイクルはほぼ絶望的。「循環の輪」が途切れた格好だ。
宇都宮市茂原の県下水道資源化工場では、県内の公共下水道などから排出される汚泥の80%を受け入れている。2009年度にはスラグ約2200トンを製造した。
しかし5月31日に採取したスラグからは、放射性セシウムが1キロ当たり2万8千Bq検出された。これは原子炉等規制法でリサイクルに使える基準の100Bqを大幅に超えている。スラグの原料となる焼却灰からは3万2千Bq(5月2日採取)検出されており、セメントに混ぜて2倍程度に希釈したとしても基準をはるかに上回る。
焼却灰にする前の段階の汚泥からは、県内各地の下水道施設によって異なるが190〜2900Bq(5月31日採取)検出された。政府は16日、(1)8千Bq以下は跡地を住宅に利用しない限り埋め立て可能(2)8千〜10万Bq以下は、周辺住民が受ける年間放射線量を10マイクロSv以下に抑えることを条件に埋め立て可能−などの基準を示した。
県内の下水道施設から排出された汚泥の放射線量は(1)に、県下水道資源化工場のスラグや焼却灰の放射線量は(2)に当たる。だが埋め立ての際に求められている防水対策の基準がはっきりしておらず、県は困惑している。
汚泥は現在、下水道資源化工場の建屋内に保管されているが、8月半ばには保管場所が満杯になる。県県土整備部では「管理型処分場並みの防水対策を求められるとなると、埋め立て地の選定はかなり難しくなる。国の基準を正確に把握し、関係市町と対策を協議したい」としている。