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公益財団法人下野奨学会
第57回下野奨学生・平成29年3月卒業作文集「さくら」から

 公益財団法人下野奨学会は栃木県の優秀な人材育成に貢献するため、経済的に特に厳しい環境にある県内高校生に奨学金を毎月、給付し、修学を支援しています。

 平成29年3月、栃木県内高校を卒業した第57回下野奨学生19人の作文集「さくら」から、4人の作文を紹介します。

 奨学生のプライバシーに配慮するため、氏名や卒業高校名を匿名にし、文章の一部も変えています。



VOL.1 「高校で得たもの」

県央地区県立高校卒業生(女子)

 私の高校生活は三月一日をもって卒業を迎えました。三年間という長い期間を超え、目標へと進むことが叶ったのは周囲の声援や親身になってご指導下さった先生方、また学生生活を見守って下さった下野奨学会の関係者様のご支援があってこそだと思います。心より感謝申し上げます。

 振り返ってみると、なんとも一言では言い表すことのできない日々であったと思い起こされます。入学当初には考えられなかった様々な経験をこの学校で経たことで、今まで持ち得なかった考え方を知ることができたり、それらを自分に還元し生かすことができるようになりました。

 しかし、嬉しかったことや楽しかった思い出のように、あふれてくる良い記憶たちだけが自分の身になったとは言い切ることができません。多くの人が言うように、挫折を知り、自分の行うことができる範囲の狭さに悩み、苦しんだ内容が自分の行動の指針になっていることが多いのです。挫折したことに対して真剣に考えられるようになれば、結果は出ずともその考え抜いたという経験は残ります。それが何より進んでいくための力になるのだとまた、この生活から学ぶことができました。

 これから先、私は看護師になるという目標へと向かって進んでいきます。国家資格ということもあり、その道は険しく上手くいかないことだらけかも知れません。慣れない人間関係に戸惑うことも多くあるでしょう。そんなときでも私は自分の考えをしっかり持ってやりきってみよう、と考えています。挫折しても、また立ち上がることができると知れた生活、環境に感謝し日々精進していきます。



VOL.2 「努力の理由」

県北地区県立高校卒業生(女子)

 生きていると、ある問題に常に悩まされる。「やりたいこと」と「できる」ことのギャップだ。「やりたいこと」が全て「できること」だったらどんなに楽だろう。しかし、たいていの「やりたいこと」は「できること」と少なからず差が生じる。その差を小さくするために、私たちは努力をする。勉強は、その典型的な例だ。勉強し、進学したり資格を取ったりすることで「やりたいこと」つまり夢に近づこうとするのだ。

 私の好きなお笑い芸人のコントに「器用で不器用な男と不器用で器用な男の話」というものがある。仕事は器用にこなし、たくさん稼いでいるが、コミュニケーションを取るのがあまり上手でない男と、好きな絵ばかりを描いてお金は稼いでいないが、コミュニケーション能力が高い男が話している。金持ちの男は好きなことをして会話も上手な男に憧れているが、絵描きの男は若くしてたくさん稼いでいる男に憧れている。そして絵描きの男は、もう絵をやめると告げる。それを聞いた金持ちの男は泣きながら怒りを顕わにする。好きでもない仕事をしてお金ばかりがある自分と違って、好きなことをして面白いことをたくさん言う姿に憧れていたのに、辞めちゃったらどうにもならないじゃないか……。

 「できること」だけをする人生は楽しくないが、「やりたいこと」だけをやっていたら生きていけない。二つのバランスが大切なのかもしれない。

 私には幼い頃から、保育士になるという夢がある。そのために、中学、高校と勉強に励み、高校卒業後は幼児教育学部に進学することを決めた。「やりたいこと」を仕事にする。一言で言うと簡単なようだが、なかなか難しい。人前で話すことや、ピアノを弾くことなど、多くの壁が立ちはだかる。不安は尽きないが、「やりたいこと」を「できること」に少しでも近づけられるように努力を続けたい。



VOL.3 「三年間の感謝の気持ち」

県南地区県立高校卒業生(女子)

 初めて制服に袖を通したあの日からもう三年も経つなんて、本当に高校での三年間があっという間に過ぎ去ってしまいました。この三年間を振り返ってみると、決して楽しい思い出ばかりではありませんでした。初めての挫折を経験し、むしろ辛く苦しい思い出の方が多かったように思います。それでも、挫折や苦悩があったからこそ、友人との何気ない日々がかけがえのないものに感じたし、自分と向き合うことで、自分を成長させることができました。

 三年間の高校生活を一言で表すと、「感謝」という言葉が最も適していると思います。私はあまり恵まれた家庭環境ではないので、その分、沢山の人が支えてくれました。どんな時も側にいて味方になってくれる家族。成長を喜んでくれる親戚の人達。様々な思い出をくれる友人。親身になって相談にのってくださる先生方などです。私の周りの人達は、皆優しい人達ばかりで、心温まる言葉をかけてくれたり、優しい眼差しで見守ってくれました。そのおかげで、辛い日々や挫折を乗り越えて、充実した三年間を過ごすことができたのだと思います。

 四月からは大学という新たな環境での生活が始まります。そして私たちはだんだんと大人になっていきます。大人になるにつれて、私が周りの人達にしてもらったように、私も誰かの支えになれる大人になりたいです。

 最後になりますが、高校を無事に卒業し、大学へ進学できるのは、下野奨学会の皆様のご支援があったからこそだと思っています。本当に感謝しています。この感謝の気持ちを忘れず、いつか皆様に恩返しできるように、日々の努力を積み重ねていきたいと思います。ありがとうございました。



VOL.4 「卒業を迎えて」

県央地区私立高校卒業生(女子)

 先日、無事卒業式を迎えることができました。終わってしまうと、三年間という時の短さを実感し、同時に様々な思い出が走馬灯のように頭の中に浮かびました。

 一年生の初めに行われた合宿セミナー。夏休みや冬休みも学校に来て友達と勉強したこと。二年生全員で行った沖縄の修学旅行。入試直前の緊張感。卒業したばかりだというのに、すでにあの日々を懐かしく思っています。辛いことも楽しいこともあったけれど、この三年間はとても生き生きとしていて、私の大切な宝となりました。

 特に受験を通して自分の弱さを知り、家族や先生、友達の存在を強く意識し励まされたのは、貴重な経験だったと思います。私は読書が好きで、読み始めるとやめられないところがあります。この一年間、辛い現実から逃げたくて図書館に行き、何時間も本を読んでしまったことがありました。その度に逃げた罪悪感にさいなまれました。しかし、その欲求を抑えてやるべきことを終えた時、自分の弱さはけっして乗り越えられないことではないと知りました。

 また日々の生活で勉強がよりよく進むように支えてくれた家族、勉強や受験の悩みを一緒に考えて下さった先生方、それぞれ受験に対する思いを持ちながらも黙々と勉強をする友達の姿に、勇気とあきらめない強さを教わりました。多くの方々の支えのおかげで今の私があると思います。本当にありがとうございました。

 四月からは大学生になります。三年間の学びを生かし、多くのことに挑戦したいです。進学させてもらえることに感謝しながら勉強も頑張ります。

 最後に下野奨学会の皆様、三年間温かいご支援と応援をして頂きありがとうございました。皆様のおかげで無事卒業を迎えられました。心から感謝しております。