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【フィンランドのくらしとデザイン展(中)】デザインの黄金時代

(2012年7月29日 05:00更新)

 フィンランドを代表する作曲家ジャン・シベリウスが交響詩「フィンランディア」(「フィンランドを称賛する」の意味)を国外で初演したのは、1900年。第5回パリ万国博覧会に際してのことだった。

 この時、フィンランドはロシア帝国の支配下にあり、愛国的なタイトル、それを表す気高い曲想がために、自国では、当局から演奏禁止の処分を申し渡されたという。

 17年後の12月6日、フィンランドは独立を果たし、新しい国造りが始まった。その根幹には、自然・人間・近代文明(産業)が共存・調和し、すべての人々がお互いに理解し合う・助け合う社会を目指す、という思想がある。社会主義とも資本主義とも一線を画する独特のものだ。

 こうした考え方は、展覧会の第2部「フィンランド・デザインの黄金時代−森を糧とする豊かな生活とグッド・デザイン」(主として50〜60年代)で紹介される作品の礎となった。

 マリメッコ社の布と服、プロダクト・デザイナーのカイ・フランクによる食器、建築家アルヴァ・アアルトが手がけた椅子。いずれも、実用的で質が高く、人々の生活を心身ともに健やかにし、老若男女に好ましい普遍的なデザインの量産品である。

 また、「このデザインでなくてはならない」「あの製品でライフスタイルを一新させる」というよりは、「使い手が自由に選び、組み合わせる」「暮らしに溶け込み、世代を超えて愛される」ことで、「より良い衣食住を提案する」タイプの素直なデザインと言えるだろう。

 フィンランドの場合、すべての人々にとって、あらゆる観点から良いデザイン「ユニヴァーサル・デザイン」の正しい模索は、国の成り立ちとともに始まった。

 体形・年齢・性別を問わない服、さまざまな料理・食卓・台所に対応する食器、身体・空間・時代に寄り添う椅子は、やがてフィンランドの「顔」というべき産業となり、今日まで生産が続いている。(はしもとゆうこ・宇都宮美術館主任学芸員)

   ◇  ◇

 企画展「フィンランドのくらしとデザイン」(宇都宮美術館、下野新聞社主催)は8月26日まで。(問)同館電話028・643・0100。

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