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制作秘話を紹介 田中正造遺墨展記念

2012年5月27日 05:00

 【佐野】市郷土博物館で26日、会期中の「田中正造遺墨展」の開催記念講演会が開かれ、作家水樹涼子さん=下野市小金井=が、正造を扱った作品の制作秘話などを明かした。

 水樹さんは鹿沼市出身。来年没後100年となる正造の顕彰事業として、市と下野新聞社が共同制作中の伝記まんがの原作を執筆した。4月には正造の生涯に迫った小説「岸辺に生う」も刊行した。

 講演で水樹さんは、「原作の依頼を受けて、手当たり次第に資料を取り寄せた」と振り返った。足で稼ぐよりも想像力を働かせた執筆スタイルだったというが、谷中村強制廃村の場面では「想像を超える悲劇だったはず。文献資料と私の想像力で太刀打ちできるのだろうか」と、筆が止まったという。

 そんな時に東日本大震災が発生。被災地と谷中村の悲劇が重なり、執筆が進んだが、「被災者の方への後ろめたさを感じた」。自問自答を繰り返す中で「他の償いができないのであれば、精魂込めて書くことが私の使命」と意を決したという。

 正造について「地域の枠を打ち破り、人類共通の問題として鉱毒問題に取り組んだ」などと評価、「内向きになりがちな本県民から誕生したことは一つの奇跡」と語った。