入江観「懐郷の山」(F120号、油彩、カンヴァス、2010年、作家蔵)

 日光市出身の洋画家入江観(いりえかん)さんの個展「入江観 故郷(ふるさと)-日光を描く」(小杉放菴記念日光美術館、日光市、同市教育委員会、下野新聞社主催)が16日~11月5日、同市の小杉放菴(こすぎほうあん)記念日光美術館の開館20周年記念企画として開かれる。生まれ育った日光の風景を描いた39点が一堂に会す。神奈川県茅ケ崎市在住の画家として青い海や広い空の絵が印象的だが、日光の何げない風景画の数々からは入江さんの新たな魅力を感じることができる。

 入江さんは1935年日光町生まれ。東京芸大美術学部芸術学科卒。62年に渡仏し、帰国後は勤務先の女子美術短大の校舎開校に伴い茅ケ崎市へ転居、海辺の風景を描き始める。現在、女子美術大名誉教授、日本美術家連盟理事などを務め、第一線で活躍している。

 ここ10年ほどは日光を精力的に描いている。モチーフは中禅寺湖畔、女峰山、霧降の滝や、日光宇都宮道路からの景色などさまざま。同館の迫内祐司(さこうちゆうじ)学芸員は「入江さんは有名なところではなく、目の前の何でもない風景を描いてきた。日光でも一貫している」と話す。

 「懐郷の山」は、入江さんが通っていた小学校の跡地に建てられた同館からほど近い場所からの眺め。描かれている赤薙山は、男体山や女峰山に比べれば広く知られた山ではないが、子どもの頃から見てきた風景として描かれている。